2022年06月14日
高齢化が進めば医療、介護の世話になる高齢者も増える傾向は避けられないようです。以前から世界最速スピードで高齢化が進むわが国ではいよいよ、2025年問題が顕在化しつつあるようです。医療、介護施設などを増強するだけでは医療や介護の現場が患者やその予備軍などの増加に対応しきれない恐れがあると囁かれる問題のようです。
後期高齢者の急増する時期が目前に迫ってきましたが、国や自治体では既に立ち上げている在宅型の医療、介護システムの導入で乗り切ろうとしています。市町村レベルで中核的存在となる地域包括支援センターを設置して医療、介護、福祉、保健の面から高齢者などを在宅のまま支援する点が過去になかった特徴です。
そこで、ひとり一人、病状や体調の異なる高齢者などに医師や看護師、その他、専門知識を持つ職員がチームを構成して対応していくわけです。この中ではチーム医療、介護における薬剤師の役割強化が期待されているようです。
770万人と推計される団塊の世代、全員が後期高齢者に達する2025年以後に認知症や慢性的な内臓疾患を患う患者の増加が予想され、看護、介護対策の強化が急務だと言われてきたわけです。
このような患者は日々の体調だけでなく精神状態も変わりやすいと言われています。心に何らかのわだかまりを持っていて、薬局から出された薬を指示通りに服用しない患者が結構いるようです。このような患者には服薬管理などで心を開いて何でも話し、相談できる間柄になるのには他の患者以上にきめ細かな服薬指導が必要なようです。
このため、チーム医療、介護に加わった薬剤師は平素からこのような患者及びその家族との信頼関係を築き上げておく必要がありそうです。このような在宅医療、介護に携わるには調剤薬局で調剤業務に専念していたシンプルな業務とは異なり、コミュニケーション能力を磨くことが求められそうです。
このような患者のライフスタイルまで踏み込んで意思疎通を図る必要があるからです。人生経験豊かなタイプの専門家でないと務まらないと言われる所以です。
このような薬剤の専門家が今後の高齢化社会で需要が増えそうです。現在、調剤薬局数がほぼ飽和状態まで増えて、最近まで引く手あまただった薬剤師の求人募集が急速に萎んできました。それにも拘わらず薬学部卒業生の国家試験合格者が増え続けているので将来にわたって働き続けられるか、不安感が出ています。
しかしながら2025年問題が顕在化してきた時期だからこそ、特に若い人が開拓していくべき業務分野が生まれたということでしょう。医療や介護の関係者がチームになって家庭を訪問し、在宅中の患者宅で医療や介護を行うシステムが根付いていくか、岐路にあるといえそうです。
。