2023年11月01日
服薬指導が主な仕事の一つである薬剤師にとって、慎重に対応しなければならない患者の中に精神疾患を患っている患者がいます。適切な対応を取るためには具体的にどんなことを心がけておくべきかを、関係者と連携して理解しておかなければなりません。
精神疾患の治療については入院して治療を行うよりも定期的な通院による薬物療法が主流であるため、必然的に薬剤師と患者とのかかわりは深くなります。定期的な服薬状況の聞き取りをはじめ、現在の自覚症状などをよく確認することも必要です。
とくに精神疾患を患っている患者の場合、医師や看護師と適切な信頼関係を築き上げていないこともあるため、薬局で自覚症状を確認することで新たな症状が明らかになることも少なくありません。適切な対応を積極的にとることで患者の早期回復につながる可能性が高いです。
そのたには、関係各所との連携をとることだけではなく、自分たちが医療に携わっていると理解し、積極的に患者とコミュニケーションをとることが必要となります。
オンラインで来局する患者も増えてきているため、患者の状況を適切に観察できるようにすることも必要です。とくにカメラ越しでの対応の場合、光の加減で患者の状況や雰囲気が大きく変わってしまうことがあります。できる限りきめ細かい聞き取りが重要となるため、対面の時よりも観察や確認を積極的にすることが改善のヒントにつながります。
積極的にコミュニケーションをとることはもちろんですが、それだけでなく、患者が回復しているのか、あるいは薬をきちんととっていないのかなどを判断することも重要です。直接接することができない環境だからこそ、患者もリラックスして話すことができる可能性があります。
服薬指導だけではなく、医師たちが見逃している部分もあるかもしれないため、ダブルチェックする気持ちで対応することが患者のためといえるでしょう。
薬の副作用によっては、話しかけてもあまりよい反応を見せないこともあります。しかし、反応が薄くても薬局へ訪れた以上は治りたいという意思がある証拠となるため、できるだけ話しかけるようにすることが必要です。ただし過剰な対応は患者からの執着の対象となる可能性が高いため、他の患者と区別することなく、あくまでも業務の一環であることを明確にした対応をしておかなければなりません。
勘違いさせることで病状を悪化させる要因となることから、特別な対応ではないことを言葉や態度で見せることを忘れないで下さい。患者の治療計画の一環の服薬指導であること、反応がなくても続けておくことが早期回復の糸口となる可能性が高いです。